◆ 秋深し 小学校の裏門近くを通ると校庭で響く声。
その声を聞くと、「今年の運動会で組み立て体操をとっても頑張った。とっても楽しかった」と言うMちゃんの話を思い出します。
◆ 話を始める前にMちゃんと組み立て体操の紹介をします。
Mちゃんは 6年生です。6年生にしては、ちっちゃくていつも一番前にいる可愛い子。そんな感じです。
そして「組み立て体操」小学校の組み立て体操って・・どんなのか覚えておられますか?
先ず最下段の子供が四つんばいになって、その上にまた四つんばいになって乗る子がいて、そうやってピラミッドのように上に上にと段をつくり、最後に一番上に一人が乗り、先生の笛と共に手を広げる競技です。よってそんな競技で一番上に乗るのは、必然的に軽くてちっちゃい子です。 そういう訳でMちゃんはこの組み立て体操で一番上で手を広げる役割を担当することになりました。
さぁ、そんなMちゃんの体験談です。
◆ 練習に練習を重ねて迎えた運動会。一つひとつ競技は順調に進行していき、プログラムも終盤になってきました。いよいよ組み立て体操です。みんなドキドキです。
そして始まりました。 崩れないようにできるかな。。。
ベースになる一番下の段の子はとにかくきっちり並ぶことを大切にします。横は真直ぐに、そして背中は上の子が乗りやすいように平たく。この姿勢はキツイな!
そして2段目 レンガを積むように入れ違い、下の子の肩と肩の間に並びます。このときも もちろんきっちりを意識しますが、下は地面ではなく人ですから少し不安定です。
そして3段目、一番下の子は重いだろうな、そんなことを気遣いながら敏速に乗ります。まだ4番目の子が乗るので、速いけれど崩れないようにぴっちりと間を埋めます。
さぁ、4段目です。 ここまでくるとその高さは子供にとっては結構なもの。ちょっと揺れて怖いけど下の子たちが頑張って支えていてくれる。だから勇気を出して乗ります。
その頃一番下の子たちは、だんだん重くなってくるその背中を感じながらも、歯を食いしばり踏ん張ります。四つんばいになったスネに校庭の小石が食い込みます。
そして最上段。 いよいよMちゃんが乗ります。 勢いを付けて上ります。
できるだけみんなに負担がかからないように・・。
乗りました!
そして本当にタイミング良く先生の笛は鳴ります。 ピーーーッ!!
Mちゃんは 胸を張って身体いっぱいに手を広げます。
同時に四つんばいになったみんなは全員顔を上げ前を向きます。
美しく揃った人ピラミッドと、悠々として立つMちゃんの姿に応援の父兄たちは
おぉー!!思わず拍手喝さいです。 すごい!!
その声を聞いたみんなの顔は誇りと自信に満ち、輝いています。
子供たちにとって組み立て体操本番は大成功の内に終わりました。
◆ さぁ、ここまで読んで下さった皆さん、今どんなことを感じておられますか?
子供たちは自分の役目をちゃんと分かってやっている。
そして大切なことはここです。 子供たちは知っている。
一人でもいい加減にやろうものなら、それが次の段に悪影響を及ぼし最終的に一番上に上る子が思いっきり綺麗に胸を張って手を伸ばすというパフォーマンスができないということ。つまり一人ひとりがきちんと役割を果たしていかなかったら、みんなでつくる美しいピラミッドを、お父さん、お母さんに見てもらうんだという、その願い。
全員が心を一つにしないと念いは叶わないことを全員が知っているのです。
◆ それに気づいたとき、私はハッとしました。
会社も同じだ!
果たして私たちは子供たちと同じように、全員で心を一つにしないと仕事は達成できない念いが叶わないことを、全員が深く認知できているのでしょうか。
私たちが一緒にピラミッドをつくっていく対象は言うまでもなく職場の仲間です。
そして喜んでもらいたい人は「お客様」でありましょう。
そのお客様のために 職場の一人ひとりが自分の価値と自分の役目をしっかり認識してやれたら、会社は美しく頑丈なピラミッドを組み立てることができるのです。
◆ それから Mちゃんは話してくれました。「私が上に登れたのはみんなが頑張ってくれたお蔭なんだ。下の子は上の子のことを考えていたし、上の子は下の子のことを考えていて、みんながみんなのことを考えていたからできたんだと思う。思いやりをもってやったからできたんだね。 みんなにありがとうって言いたい。」 と。
一所懸命やるからこそ溢れる感謝の念。
子供たちは何と純粋に今を生きていることでしょうか。
◆ 大人である私たちも、子供に胸張って言いたいものです。「お父さんやお母さんもね、思いやりを大切にしてるよ。
お客様の役に立てるようにって、職場のみんなと力を合わせてお仕事頑張ってるんだ。」と。